
このセイビアンシンバル特集では、今年度の吹奏楽コンクール課題曲Tを作曲した “内藤淳一先生”にインタビューし、作曲家から見たシンバルについての考えや打楽器全般についてお聞きしました。プレイヤーの目線とは異なる興味深い内容ですので、ぜひご覧下さい!(全4回配信)
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これまで、数々の作品が吹奏楽コンクールの課題曲としてとりあげられている内藤淳一先生は、シンバルといえばサスベンド(Suspended) シンバルをよく使うというイメージがあるようで、それは子供の頃、初めてマーチを聴いて感動を覚えた時の印象が深く心に刻まれているからだという。今年も得意のマーチを課題曲として作曲した内藤先生に、お話をうかがってみよう。
■内藤先生はどのように作曲をされるのですか?
いつもよく普通の中学生、小学生が持っているような5線のノートをスケッチブックの様にして持ち歩いているんですね。通勤の時電車に乗っている時間とか待っている時間とか、いろいろ考える時間がいっぱいあるんですね。そういう時に思いついたメロディは、断片であっても書き留めておくんです。

今回の「ブライアンの休日」も、2年前の3月あたりに初めて8小節ぐらい書いたものをもとに、さらに伸ばしました。そこにはメロディだけではなく、下の方に小さく低音の動きや、ハーモニーや対旋律も書いてあるんです。ひねり出すんではなく、ある時突然、吹奏楽の音でポッと鳴るので、それを聴いて、あっ、トランペットはこうやってるとか、低音がこうやってる、とか全部セットで思いついて書くんです。
■その時は吹奏楽の楽器が頭の中で鳴っているのですか?
まさに吹奏楽の音で鳴るんです。不思議なんですけど、ちゃんとトランペットとかクラリネットの音でちゃんと鳴ってくれているので、オーケストレーションで困るということはあまりないんです。あ、トランペットやってるな、クラリネットやってるな、ん、じゃあトランペットとクラリネットとがこうやってて、えっと、あれ、伴奏は何の楽器がやってるかなあ、あ、やっぱりホルン後打ちのメロディ、後打ちっぽいなって、頭の中で「ウワンウワン」と鳴っているのを自分で聴き取って、楽譜に書くという感じですね。
別にこれは特殊な能力とかではなくて、楽譜が読めるようになるまでは、そんなこと思いも寄らなかった、できもしなかったですけど、中学生の2年の時にようやく楽譜を読めるようになったんですが、そういうふうなことっていうのは、大学も卒業してもう20代の後半になってやっと、そうやって頭の中にイメージした音が鳴って、それを書き留めればいいんだなあって風になってきたんです。
■その時は、打楽器も同時に鳴っているんですか?
そうですね。でも打楽器といっても、出てくるのはシンバル、ティンパニが最初なんです。スネアドラムはあまり鳴っていないんですよね。スネアドラムは案外、スコアの上の方がある程度出来てから、逆に必死になって考えます。
だからこれもある先生に「内藤先生のスネアのパートって、結構マニアックですよね」とかって言われたりするんですよね。自分でスネアをうまく叩けないのでこういう風に演奏したいっていうイメージで書くので、若干難しくなっちゃうかもしれない。そこには前打音がけっこう絡んだり、ロールがいっぱい仕掛けられたりして、ちょっと難しい、そういう意味で、マニアックですねえ、なんて、言われました。(笑)
■スネアのロールとか、音を切るタイミングが独特な感じがします。
はい、本当にいつも思うんですけれど、スネアドラム、バスドラムのパート譜にはフレーズを示すスラーというものが無いので。本当にこうやって書いて、スコアをちゃんと読んでくれているパーカッショニストだったらいいんですけど、フレーズは大丈夫かなあといつも心配です。
だから、フレーズを明確にするためにも、切替えしの時に、例えばアウフタクトで「チャー・ラン」というチャーの時に、ロールを入れたりして、無理やりバスドラムやスネアドラムの中にフレーズを作りたいので、そんな風にしているのかなあって自分では思っているんですけど。よくメロディを口ずさみながら演奏しなさいとかって、講習会で言われたりして生徒も充分知っているんですけど、でも、やっぱり実際コンクールの場面とか定期演奏会でもそうですけど、聴いていると全然フレーズ関係無しに演奏してる打楽器奏者って中学生、高校生でも実際いるのでね、そこがちょっと気になっているって感じですね。かといって打楽器にはフレーズのスラーを付ける人は誰もいませんからねえ。
私の場合、記譜の時コピー&ペーストで貼り付ける時にピッコロの音をグロッケンに貼り付けたときに、そのままスラーは一緒に付いてくるんですね。だからピッコロと合わせるために本当は残しておきたいんです。でも、泣く泣く、スラーを全部後から削除していくことになるので、その時に例えばグロッケンを演奏している人も、スラーを外してあるけど、ピッコロやフルートの楽譜、演奏を見て、ちゃんとスラーを補って演奏してくれているかなあ、とも思っているんです。
■あとマーチ、特に課題曲というと、時間の制限もあったりすると思いますが、メリハリというか一つの曲にストーリー性を持たせるというか、そういう部分でお考え、こだわりなどがあれば教えて下さい。
マーチの場合はトリオに、もう本当に美しいメロディを持ってこなきゃと思っているんです。歌えるメロディを。なのでストーリー的には冒頭のほうの第1マーチのほうでは、どちらかと言うと男性的なメロディを置いたらトリオには少し女性的な、例えば歌えるカンタービレとかスラーがいっぱい掛かっているレガートとか、個性の対比をトリオとトリオの前で付けたいんですね。そういうことはすごく意識していますね。
あとは「ブライアンの休日」もそうなんですが、まあ私はスーザスタイルとかってスーザをたくさん研究したわけではないので、自分の中にある自分なりのマーチの構成法でやっているんですけど、各部分部分に個性をもたせて、いわゆるAのメロディ、Bのメロディみたいなものがそれぞれ登場人物みたいになっていると思っています。
トリオもトリオで、ひとつのまた別の登場人物、だから私は、演出とかお芝居の考え方がうんと好きで、国体の時も自分でシナリオみたいなものを書いたりもしていたんですが、曲の最後はカーテンコールのようにいままで登場した人がもう一回、回想シーンの中に出てくる場面だと思っているので、コーダの中で必ずやってしまうんですね、いままで出てきたメロディを少し回想するシーンとして。最後の8小節っていうのは前の「マーチ・グリーンフォレスト」でもそうですし「夢と勇気、憧れ、希望」でもそうでしたけど、最後の部分というのは、今までのメロディが断片的に、集まってくる、そういう構成法をしています。
やっぱりドラマ仕立てみたいになるといいなと思って、チャンチャカチャンチャンチャン、ジャン。で終わりたくないという気持ちがあるのは事実ですね。
[ 内藤淳一氏 ]
静岡県出身。宮城教育大学音楽科(作曲専攻)を卒業し、宮城県公立学校の教諭となる。現在宮城県古川黎明中・高等学校に勤務。中高両校の吹奏楽部とコーラス部を指導し、中学校コーラス部の声楽アンサンブルコンテスト全国大会出場や高校の全日本吹奏楽コンクール、全日本合唱コンクールでの東北支部大会出場などの指導実績を残している。また(社)日本作曲科協議会、日本吹奏楽指導者協会、宮城県芸術協会、20世紀の吹奏楽“響宴”などの各会員を務め、作曲分野では3度の朝日作曲賞(吹奏楽)、東北吹奏楽連盟表彰、宮城県芸術選奨新人賞など数々の賞を受けている。
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